香取神宮の宝物文化財は県指定文化財以上のものだけでも、200点余を収蔵所有しております。
国宝
海獣葡萄鏡
直径29.6cm、縁の高さ2cm、重量4560g、白銅質の円鏡で、葡萄唐草を地紋とし、唐獅子のつまみを中心に獅子・馬・鹿・麒麟などの獣類や孔雀・鴛鴦・鳳凰・鶏などの鳥類、さらには昆虫などを配しています。
正倉院御物及び四国大山祇神社の神鏡とを合わせて『日本三銘鏡』と称され、昭和28年に国宝に指定、千葉県の工芸品で唯一の国宝です。
重要文化財
本殿
香取神宮の本殿は、平安時代には伊勢の神宮と同様に20年ごとのお建替の制度がありましたが、戦国時代には衰退しました。現在の本殿は、元禄13年(1700年) 徳川幕府の手によって造営されたものです。
この本殿は、慶長年間の造営で用いた桃山様式を元禄の造営時にも取り入れよく受け継いでいます。
本殿の様式は正面柱間三間の流造に後庇を加えた両流造り、現在屋根は桧皮葺ですが、もとは柿葺でした。規模も大きく、また建築様式も近世前期の正統的な手法を用いており、全国的に見てもこの時期の神社建築を代表する建物です。(昭和52年重文指定)
楼門
楼門は本殿同様元禄13年の幕府造営のものです。三間一戸で、様式的には純和様で構築され丹塗りが施されています。屋根は入母屋造銅板葺ですが、当初はとち葺でした。
楼門内安置の随身は俗に左大臣右大臣と呼ばれていますが、正面向かって右の老人像は「竹内宿祢」、左の壮年像は「藤原鎌足」と伝えられています。 また楼上の額は 「東郷平八郎」の筆によるものです。
この楼門は上下階のバランスが素晴らしく、香取神宮のシンボル的な建物となっています。(昭和58年重文指定)
古瀬戸の狛犬
阿吽(あうん)一対の古瀬戸の狛犬です。阿像の高さは17.6cm、吽像は17.9cmで、小柄ながら野性的で鋭い気迫が溢れています。
素地は淡灰色の堅い半磁質で、これに朽葉色の透明性の黄釉が全面に厚くかけられていますが、底裏は素地のまま。両像とも手びねりで、ヘラで毛並みや眉などを表しており、体躯はやせぎみで全体として簡素な造型です。
作風から室町時代(15世紀)における瀬戸古窯での作品と思われます。
類品は全国でも数例しかなく、この狛犬はその中でも優品で極めて貴重なもの。特に阿像は250円通常切手のデザインとなりました。(昭和28年重文指定)
香取神宮の古文書
香取神宮に関する古文書は、現在、神宮にあるもののほかに、旧社家やその他に数多く現存しています。
特に当神宮の大禰宜職を世襲した香取家に伝わる『香取大禰宜家文書』は、平安時代後期から江戸時代に至る381通 があり、重要文化財に指定されています。これは大禰宜職相承のあり方や所領構成、および香取神宮の歴史的変遷を明らかにする多様な文章を含み、関東の神社文書の代表的遺品として価値の高いものです。
当神宮所蔵の古文書としては、県指定有形文化財の『香取古文書』5巻があり、時代的には鎌倉時代初期から江戸時代末期におよんでいます。
『香取古文書』の内容(一部)
- 源頼朝の寄進状<治承5年(1180年)10月>
- 関白近衛基通家政所下文写<建久8年(1197年)>
- 社伝造営に関する文書類
- 足利尊氏寄進状<観応3年(1352年)7月>